島根県・玉造温泉にある温泉旅館「界 玉造」では、2025年10月1日から2026年3月20日の期間限定で、滞在型の文化体験プログラム「小泉八雲を辿る旅」を実施します。
舞台となる松江は、連続テレビ小説「ばけばけ」のモデルにもなった土地であり、文豪 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と妻セツが過ごしたゆかりの地が点在します。
「界 玉造」では、人力車ツアーや怪談朗読といった体験を通して、小泉八雲が見つめた松江の風景や物語を旅のプログラムに取り入れています。歴史と文化を背景にした滞在は、単なる宿泊にとどまらず、文学と土地が調和するひとときを味わうことができる旅としておすすめです。
小泉八雲と松江
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)はギリシャに生まれ、ジャーナリストとして各国を渡り歩いたのち、1890年に来日しました。初めて暮らした地が松江であり、彼はこの町で約1年3か月を過ごします。
松江の風土や人々の暮らしに深く感銘を受けた八雲は、妻・セツとの生活を通して日本文化の精神性を見出し、著作を通じてその魅力を世界へと伝えました。代表作『怪談』に見られるように、日本の民話や伝承を再話した作品群は、今なお広く読み継がれています。
今回の「小泉八雲を辿る旅」では、八雲が歩いた松江の風景や文化を体感できるプログラムが組み込まれており、旅人に文豪が見つめた日本の原風景を重ね合わせるような時間を提供します。
参考:松江観光協会 – 松江めぐり|怪談のふるさと 松江|松江を愛した文豪 小泉八雲
ゆかりの場所をめぐる人力車ガイドツアー

滞在者は、1日1組限定・2名までという枠で、界 玉造スタッフが厳選したルートを人力車で巡るガイド体験に参加できます。
八雲とセツが暮らした旧居、松江大橋、宍道湖を望む風景、そして彼が物語で描いた舞台とされる普門院などを順に訪れ、語りと風景を重ねながら八雲が感じたであろう松江を追体験できる構成です。
この人力車ガイドツアーは、13:00〜14:00の時間帯で設定されており、料金は税込 18,000円。参加には宿泊日の7日前までの予約が必要です。
怪談茶室で朗読と物語が響く夜

夜の館内には、静寂をまとった茶室で「怪談茶室」が催されます。
前半では八雲の生涯や松江に滞在した背景、セツとの暮らしなどのエピソードが語られ、後半では代表作である「雪女」「耳なし芳一」の朗読が、映像演出とともに響き渡ります。
「怪談茶室」体験は宿泊者限定で、20:00〜20:30 に実施。定員は6名まで、参加費は無料です。朗読とともに、「八雲酒セット」(後述)を片手に、文学と風景が融合する時間を味わうことができます。
八雲ゆかりの一夜を彩る和菓子と日本酒のペアリング

プログラムのもう一つの魅力、「八雲酒セット」は、八雲が夜に和菓子をつまみに晩酌をしたという逸話に着想を得た企画です。
老舗和菓子店「風流堂」と共同で開発された「黄身しぐれ」に加え、にごり酒・隠岐の酒を再現した酒・島根と熊本の酵母・酒米を組み合わせたコラボ日本酒の3種を用意。
「八雲酒セット」は、18:30〜21:30 の時間帯で提供され、税込 1,500円。「界 玉造」内の日本酒BAR で楽しめます。文学作品の余韻に身を委ねながら、風味と物語性の交錯する味わいを体験できます。
「小泉八雲を辿る旅」が描く、新しい滞在のかたち

この特別な滞在プログラムは、昼は人力車ツアーで松江の街に八雲の影を探し、夜は茶室で怪談朗読を堪能。温泉や郷土料理を交えながら、滞在の全行程を通じて「文学と土地を行き来する旅」が体験できる構成です。
開催は冬期まで続くため、秋の紅葉や冬景色と組み合わせて楽しむこともでき、四季折々の表情を重ねた旅の記憶が残るでしょう。さらに、温泉地・玉造ならではの癒しと、文学をテーマにした文化的体験の両立は、他では得がたい魅力。静かな時間のなかで自らをリセットし、心に新しい彩りを添える旅となりそうです。
松江でしか体験できない「小泉八雲を辿る旅」。
単なる観光や宿泊を超え、旅そのものが一冊の物語のように心に残る時間を紡いでくれることでしょう。
滞在プログラム「小泉八雲を辿る旅」概要
期間:2025年10月1日~2026年3月20日 *人力車ガイドツアーは一部除外日あり
備考:人力車ガイドツアーは現地集合、現地解散です。荒天の場合は中止の可能性があります。
滞在スケジュール例 |
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【1日目】 13:00 松江市内で人力車ガイドツアーに参加 15:00 チェックイン 15:30 お茶室で茶の湯体験 16:00 「温泉いろは」に参加 16:30 大浴場で温泉に浸かる 17:30 夕食 20:00 「八雲酒セット」を携えて「怪談茶室」に参加 21:15 ご当地楽「石見神楽」を鑑賞 【2日目】 7:00 「出雲酒造り体操」に参加 8:30 朝食 10:00 トラベルライブラリーで小泉八雲の書籍を読む 12:00 チェックアウト |
「界 玉造」―― 日本最古の美肌の湯に浸る、贅沢なひととき
松江市・玉造温泉に佇む「界 玉造」は、全室露天風呂付きの客室を備えた温泉旅館です。日本最古の美肌の湯と称される名湯に浸りながら、しじみやタグ付き松葉蟹など、地元の旬を活かした会席料理を堪能できます。夜には、迫力ある「石見神楽」の舞が披露され、伝統文化にも触れられるのが魅力です。
所在地:島根県松江市玉湯町玉造1237
アクセス:JR玉造温泉駅から車で約5分、山陰自動車道松江玉造ICから約15分
客室数:24室
チェックイン 15:00/チェックアウト 12:00
料金:1泊45,000円~(2名1室利用時、1名あたり・夕朝食付・税込)
温泉旅館ブランド「界」について

星野リゾートが展開する温泉旅館ブランド「界」は、全国に23施設を構える“現代の和の宿”です。コンセプトは「王道なのに、あたらしい」。日本各地の温泉文化を大切にしつつ、伝統的な趣と現代の感性を融合させたおもてなしを追求しています。
各施設では、その土地ならではの文化や工芸に触れることができる「ご当地楽」、地域の歴史や風土を映したデザインを取り入れた「ご当地部屋」が特徴。訪れる人に、その場所でしか味わえない文化体験と癒しを提供します。
今後も進化を続ける「界」は、2026年春に群馬県・草津温泉に「界 草津」、夏には広島県・宮島口温泉に「界 宮島」が新たに開業予定。さらに、長野県・浅間温泉の「界 松本」もリニューアルオープンを控えています。こうして全国に広がる「界」の宿は、各地域の個性を生かしながらも、共通して“静謐で上質な時間”を約束する存在です。