クラシックと先端が交わる光学美学──Thypoch “Eureka” レンズ登場

カメラの世界において、レンズは単なる機材以上の存在です。光を受け止め、形作り、そして写真家の世界観を映し出す。そんな“表現の核”に挑む新ブランドが注目を集めています。

株式会社焦点工房が 2025 年 9 月 19 日より発売した Thypoch（タイポック）の新シリーズ “Eureka（エウレカ）” は、クラシックな佇まいと最新の光学技術を結晶させた逸品。懐古的な美意識を現代的な実用性で再解釈し、写真表現を愛する層に新たな選択肢を提示します。

“Eureka”が意味するもの──古典と革新の接点

シリーズ名の「エウレカ」は、アルキメデスが発したとされる感嘆句 “Eureka（見つけた！）” に由来。クラシックレンズの味わいを、現代の精緻な製造技術で蘇らせるその哲学を象徴しています。

柔らかなボケや陰影の移ろい、光のにじみ方までもが設計思想に織り込まれ、いわゆる“味わいのある描写”を大切にする写真家の琴線に触れる仕上がりです。

しかし単なる懐古主義ではありません。マルチコーティング技術や精密加工を通じ、色再現や階調表現は現代的な水準を満たし、クラシックとモダンの融合という絶妙なバランスを実現しています。

第一弾モデル、沈胴式標準レンズ「Eureka 50mm f/2」の魅力

シリーズ第一弾となるのは、沈胴式標準レンズ Eureka 50mm f/2。1950年代の象徴的な沈胴設計を踏襲しつつも、現代の撮影環境に即した機能性を備えています。

収納時には 27mm の薄さとなり、ポケットに忍ばせられるコンパクトさを誇りながら、使用時はフルスペックの光学性能を発揮。持ち運びの軽快さと本格的な描写力を兼ね備える点は、旅先やストリートスナップなどで大きなアドバンテージとなります。

さらに、ライカ M マウント対応でありながら、イメージサークルを広めに設計することで中判ミラーレスカメラにも対応。FUJIFILM GFX や Hasselblad X で使用してもケラレを抑えられるため、より幅広い表現環境への適応を可能にします。

デザインと素材へのこだわり──アルミと真鍮の二つの顔

Eureka 50mm f/2は、選択可能な「鏡筒素材」も特色のひとつ。

軽量な アルミ合金鏡筒 はわずか 120g と軽快で、携行性を最優先したいユーザーに最適。一方、真鍮鏡筒 は重量感と素材の深みがあり、存在感や重厚さを求めるファンのためのモデルとして用意されています。

アルミ合金鏡筒

耐久性に優れたシルバーアルミニウム外装を採用した重量わずか120gの軽量モデル。

真鍮鏡筒

存在感と豊かな質感が特徴の、写真愛好家やコレクターに向けた特別なモデル。

デザインは往年のクラシカルな意匠を踏襲し、両モデルとも専用フードや UV フィルターを標準装備。ディテールの一つひとつに「モノとして持つ喜び」を意識した設計が光ります。

実用性と味わいを兼ね備えた描写力

Eureka 50mm f/2は、現代的な光学コーティング技術とレトロな構造の魅力を調和させたレンズです。

特徴的なのは、ヴィンテージレンズならではの柔らかなフレアを繊細に再現しつつも、現代の撮影ニーズに応える解像度や色再現性を実現している点。複数のコーティング層を緻密に調整することで、鮮やかな原色表現やボケの立体感を引き出し、被写体が持つ空気感まで写し取るような表現力を持ちます。

その仕上がりは、単に懐古的な雰囲気を追うのではなく、クラシックな味わいと実用的な描写性能が見事に融合したもの。マイクロコントラストのバランスにも優れ、画面全域でシャープさと階調の豊かさを両立しています。作品性を重視するフォトグラファーにとって「味わい」と「信頼性」の両方を兼ね備えた一本となるでしょう。